Tomopiia 対話看護専門士
SNISインタビュー
三重県在住
グリーフケア心理カウンセラー・講師の千里さん
看護師として私が常に大切にしてきたのは「人と人が対話を通じてつながる」ことでした。看護学生時代から興味を持っていたのは「終末期看護」や「コミュニケーション看護」といった領域です。当時は「カウンセリング」という言葉自体が今ほど広まっていませんでしたが、その分野に強く惹かれ、本や講座で学びながら実践に取り入れてきました。
新卒で就職したのはホスピス的アプローチを行う総合病院。その後、子育て中には産科にパート勤務し、再び正規職員として働いたのが在宅医療に力を注ぐ診療所でした。ちょうど介護保険制度が始まる前後で、訪問看護やケアマネジャーとしての業務にも携わり、私が学生時代から関心を寄せていた終末期看護の現場に深く関わることができたのです。自分がまさに「天職」に出会えたと感じた反面、激務から体調を崩し退職することにもなりました。
その後は看護教育に少し関わったのち、地域包括支援センターで5年間勤務しましたが、再び体調面で厳しくなり、退職を決意。そして2022年、これまでの経験を活かしたいとフリーランスとして独立。介護事業所のアドバイザーや看護学校の非常勤講師、さらに各種研修講師やカウンセラーとして、地域や教育の現場で活動を続けています。
ちょうど独立した頃、友人に教えてもらったのがTomopiiaのSNS看護研修。対面だけでなく、SNSで言葉を交わすなかにも看護の大切な要素があるはずだと感じ、私も興味をもち受講しました。そこで気づいたのが“言葉の感度”がさらに研ぎ澄まされるということです。
SNS看護を学ぶことによって“言葉の感度”が磨かれた
普段の対面ケアでも「傾聴」「相手の尊重」「言葉の反復」といった基本的なコミュニケーションは欠かせません。でもSNS上で文字のやり取りをする場合、私たちが思う以上に、その言葉が相手の心に強く残ってしまうことがあります。たとえば、利用者さんが「(がんの)再発がありました」と投稿されたとき、対面ならば「再発があったのですね」と反復しても、その言葉は瞬時に通り過ぎます。ところがSNSの画面上で同じワードを何度も目にすると、「再発」という表現が相手の中で大きくクローズアップされ、不安や重圧につながるかもしれないのです。そこで、「思いがけないことが起きたのですね」と言い換えて寄り添うなど、心の負担を増幅させない対話方法を模索するのがSNS看護であると学びました。
SNSの大きな特徴は「ログが残る」ことです。そのぶん、私たちは投稿後もじっくりと読み返し、返答の仕方や言葉の選び方を見直すことができます。対面では一瞬の会話の流れで終わってしまうやり取りも、SNSならば時間をかけて何度も振り返れるのが大きなメリット。実際にSNS看護を学んでからは、私自身リアルな場面でも言葉選びをより意識するようになったと感じています。何気ない一言でも相手に与える影響は大きいのだと改めて気づかされました。
「言葉を使って、より豊かに生きていきたい」という人にすすめたい
たとえ短い言葉のやり取りでも「この人はこんな気持ちで書いたのかな」と想像し、ひと呼吸おいてから返信する――そうした“想像と思いやり”の積み重ねが、SNS看護の真骨頂だと感じています。言葉は見えない心のかたちを外に映し出す大切なツールですから、その取り扱い方を学ぶことは、実は人生全体を豊かにする近道でもあるのかもしれません。
SNS看護は、看護や介護の現場にとどまらず、家族や友人、職場の仲間との関係性を見直すヒントとしても非常に役立ちます。どのような場所であっても「人と人との関係は対話から生まれる」という真理は変わりません。そして対話を豊かにするために欠かせないのが、相手を尊重し、思いやる言葉の選択。まさにSNS看護は、そのエッセンスをじっくりと学べる最適な場だと思います。
言葉を通じて人生をより豊かに彩っていきたい方に、Tomopiiaの研修をおすすめしたいです!