“コミュニケーションにはスキルが必要!”と気づいたところからがスタート

Tomopiia 対話看護専門士
SNISインタビュー 
北海道在住 
ケアマネージャーの美幸さん

 泌尿器、胸部、整形外科、緩和ケア……といろんな科で看護をしてきました。若いころ、患者さんが命にかかわるようなことを医師に「お任せします」と言うのを聞きながらずっと「そんなに簡単に“お任せ”していいの? 本当は家に帰りたいとか本音があるはずなのにどうして言わないのだろう」と思っていました。でも「言わない」のではなく「言えなかった」のだと後になって気づきました。
 ケアマネの受験勉強をしはじめると「患者さんがやりたいことをできるようにするのはどうしたらいいか」を考えることがおもしろくなってきました。さらにコーチングを勉強しはじめると「自己決定を支援する」ことにもおもしろさを感じました。そして思いました。「コミュニケーションにはスキルが必要なんだ!」って。私はそれまでおしゃべりすることは大好きで、友人からは「脊髄反射でしゃべってる」なんて言われるくらいでした。でもそれはスキルじゃなかった。「どうやったらコミュニケーションのスキルが身に着くのだろう」と思うとかえってしゃべれなくなってしまうこともありました。そんなときにTomopiiaのSNS看護研修を知って受講してみたのです。

“当たり障りのない会話“の中に本音を引き出すヒントの言葉がある

 研修を受けて気がついたのは「文字のほうがじっくり考えながらコミュニケーションがとれる」ということでした。たとえば相手から話を聞いたときに、対面だとなにも考えずに脊髄反射で「あらそうなの、たいへんだったのね」などと対応して次の話題に移ってしまうことがあります。勝手に自分で「たいへんだ」と決めつけているのです。しかし文字によるコミュニケーションだと軽々しく「たいへんだったのね」とは書けません。本当にたいへんだったかどうかなんて、それだけではわからないからです。だから文字で聞き返します。「たいへんだったんですか?」と。すると意外にも「いや、それほどたいへんではなかったです」という返信が来ることもあります。それまでは自分のペースで、自分の思い込みで、自分で決めつけながらしゃべっていたってことに気がつきました。研修を受けることによって、相手には相手の価値観、思考パターン、会話パターンがあることにあらためて注意を払うようになりました。
 それからは自分勝手に決めつけないこと、自分の考えを相手に押し付けないことを心がけるようになりました。わからないときは「私にはこう聞こえましたがそれであっていますか?」と確認するようにしています。するとその言葉のキャッチボールの中で、ふと思いがけないような言葉が出てくることがあります。当たり障りのないような会話の中にその人らしい言葉が出てくるのです。それをきっかけに単なる“会話”から特定の意味をもつ“対話”に変わっていきます。感情を表す言葉が出てきたら本音を聞き出すチャンス。それが糸口となって対話が続きます。そうなるとまるで文通のようなやりとりになります。

「自分はコミュニケーションが得意」と思っている人ほど研修を受けてほしい

 「三途の川を笑って渡る」というのが私のテーマです。自分がそうありたいし、自分のかかわる人にもそうであってほしい。だれだって自分のやりたいことをやって、言いたいことを言いたいですよね。本音をあきらめない、納得できる人生を生きたい。でも、そのためにはコミュ力が必要なのです。
 私自身、伝えることがヘタッピでした。看護師って「教えたい人」が多いですよね。でも教えることなんてほんの少ししかなくて、本当は聞くことのほうが大事。だから「自分はコミュニケーションが得意」って思っている人ほどコミュニケーションが取れてないこともあります。
文章によるコミュニケーションだとちゃんと聞けているのか、読み返せば客観的に見ることができます。看護師、ケアマネはもちろん人と接する仕事の人は関心があれば、まずはこの研修を受けてみるといいです。自分のコミュ力を上げる良い機会になりますよ。